| Q1: |
STの上昇(あるいは低下)は、心筋障害からによる障害電流により
基線が上がる(あるいは下がる)ことによるものであると聞いています。
自分としては、これだと常に流れている障害電流の中で、
すべての心電図波がゲタをはいているのではないかと思います。
ST部分のみが低下や上昇したりすることが納得できません。
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| A1: |
傷害電流が、ST部の偏位を生ずるものとされており、この現象に対しては2通りの説があります。
- 1)静止時の障害電流の理論(図1)
- @ “傷害”された筋は正常筋の静止時に比べて電気的に陰性です。この部分の上にある電極Eの心電図は、静止時に低下した基線を示す。
- A 内側(左側)が刺激されると、陰性帯電部が矢印方向に進行し、その前方部は陽性に帯電する。したがって電極Eの波形は陽性にフレる。
- B 興奮が傷害部に到達すると、電位差がなくなり、心電図は基線(等電位点)に戻る。
これはST部分が上昇しているように表現される(見える)。
- C 非傷害部が静止状態(@の状態)に戻ると、電位差が再び生じ、心電図は低い位置に戻る。
- *傷害部位と反対側の電極では、上記と反対の現象が起こる(左側の波形)。
- 2)活動時の障害電流の理論(図2)
- 傷害された筋は、刺激時に正常筋と同様に電気的に陰性にならないという実験結果が出ている。
したがって、興奮している間、傷害筋は陰性帯電の程度が低いので、
正常興奮した筋に比べて陽性に帯電することとなる。
この部分の上にあるる電極(E)の波形は、ST部の上昇した波形になる(B)。
*傷害部位と反対側の電極では、上記と反対の現象が起こる(左側の波形)。
引用 : 図解心電図学−心電図読み方のコツ
Mervin J. Goldman, M.D. 著
吉利 和、宮下英夫 訳
P142〜P145
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| Q2: |
電気軸について、普段はあまり考えずに心電図を採っていますが、
電気軸は役立つ情報となるのでしょうか?
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| A2: |
心室が興奮する際、一定方向の起電力が生じます。
この起電力が示すQRS波のベクトルの方向を四肢誘導で計算したものを、前額面平均電気軸(電気軸)といいます。
- 電気軸の基準値
- ●正常軸 : 0度 〜 +90度
- ●右軸偏位 : 91度 〜 ±180度 〜 −91度
- ●左軸偏位 : 0度 〜 −90度(病的左軸偏位 : −30度 〜 −90度)
- 軸偏位を示すもの
- ●右軸偏位
- ・右室肥大、左脚後枝ブロック、右胸心など
- ・右軸偏位が単独で出現することは比較的少ない。
- ●左軸偏位
- ・左室肥大、左脚前枝ブロック、下壁梗塞など
- ・左軸偏位のみで他の所見を伴わないことも少なくない。
引用 : 心電図を読む-鑑別を迷わないために
監修 ; 杉浦哲朗
著 : 土居忠文
P152〜153
*電気軸の重要性などは、先生やご施設により考えが異なります。
担当の先生に相談なさることをお勧めします。 |
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| Q3: |
心電図演習A(下図)が房室接合部性期外収縮だと確定できる理由をもう1つ教えてください。
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| A3: |
体表面心電図では、不整脈を100%確定できない場合が多々あります。
「数々の条件から考えて、この心電図は○○○である確率が高い。」という表現が適している場合もあります。
下の心電図波形の場合、「逆行性P波を伴う房室接合性期外収縮の確率が高いが、心房性期外収縮の可能性もある。」という表現が適していると思われます。
3拍目と4拍目のRR間隔が短く、4拍目が早期に出現していることがわかる。
4拍目のQRS波に先行するPははU、V誘導で陰性であり、PR間隔は0.11秒である。
このPR間隔は正常伝導のPR間隔に比べ短いため、4拍目のQRS波は房室接合部性期外収縮であり、
4拍目の陰性P波は逆行性P波と考えられる。
引用 : 心電図を読むー鑑別を迷わないために
監修 ; 杉浦哲朗
著 : 土居忠文
P40〜41
*心電図波形の解釈は、先生によって考え方が異なります。
担当の先生に相談なさることをお勧めします。
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| Q4: |
電極装着法の説明で、「アルコール綿は使用しないでください。」とのことでしたが、理由を教えてください。
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| A4: |
ホルター心電図検査や運動負荷検査でディスポーザブル電極を使用する際、
アルコール綿で皮膚を拭いただけですと、基線動揺やノイズ混入が起こることがあります。
これについては科学的な証明などはなされておりませんが、
ホルター心電図で電極装着方法を変えて実験したところ、実際に起こりました。
恐らく、アルコールにより皮膚のタンパク変性が起こるためと考えられます。
ディスポーザブル電極を使用する場合、一番重要なことは皮膚の角質除去です。
“皮膚処理用紙やすり”や 、“研磨剤入りクリーム” の使用をお勧めします。
(研磨剤入りクリーム使用後は、クリームや研磨剤が残らないように、
固く絞ったタオル等でふき取るようにしてください。)
皮膚の清拭や脱脂のためにアルコール綿を使用する場合は、皮膚の角質除去の前に行ってください。
*今現在、心電図の記録状態に問題が無い場合は、そのままの方法を取り続けていただいて問題はありません。
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| Q5: |
ペースメーカ波形で、ペーシングパルスの大きさが、低域遮断フィルター、高域遮断フィルターで変わるのはなぜですか?
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| A5: |
ペーシングパルスは、心電計のフィルター特性以上に、
ペーシングパルスの幅と心電計のサンプリング周波数の関係で振幅が変化します。
仮に、ペーシングパルス幅が体表面で2msecだとします。
また、パルスは急激に立ち上がりすぐに立ち下がります。
判りやすいように簡単な図で示すと、鋭い三角形の波形になります。
一般的な心電計のサンプリング周波数は500Hzまたは250Hzが用いられており、
どのタイミングをA/D変換したかで、心電図記録上のペーシングパルスの高さが変わります。
左の図は、ペースメーカーの波形をサンプリングするポイントをずらしたときの模式図です。
サンプリングするポイントがずれると、ピークの高さが違うように見えます。
このため一枚の心電図記録の中でペーシングパルスの高さが変わって見える事があります。
また、ペーシングパルスは周波数成分が高いので、広域遮断フィルターをかけると振幅は小さくなります。
低域遮断フィルターでは、ペースメーカーパルスの高さが変わることは無いはずです。
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| Q6: |
足を切断された方の心電図を採るときは、正三角形を意識して採った方が良いのでしょうか?
たとえば手首の電極を肩につけるなどして。
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| A6: |
心臓は胴体の中に存在しますので、心電図を測定する場合は、手や足は単なる電線と考えます。 そのため、電極を足首につけても、ふくらはぎや太ももに付けても心電図は変わりません。
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| Q7: |
実際の心電計の入力抵抗値はどれぐらいですか?
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| A7: |
60601-2-51 IEC:2003では、入力抵抗(インピーダンス)は2.5MΩ以上と定められています。
現在市販されている心電計では、入力インピーダンス10MΩ以上と記載してあるものが見受けられますが、
実際の値は公開されていないため不明です。
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| Q8: |
入力抵抗を高い値にもともと設定していれば、原理上は接触抵抗はそんない下げなくても振幅が再現できるのではないか思いますが?
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| A8: |
安静状態で数十秒以内の記録で十分な安静時心電図の場合は、接触インピーダンス(抵抗)を意識することはほとんど無いと思われます。
しかし、体動があり、長時間に及ぶホルター心電図や、運動負荷心電図では基線の揺れが大きくなり、影響が出ます。
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| Q9: |
1/2波形についてですが、1/2波形後に各種フィルタがかかっていると聞きますが、
生波形をフィルタしてから1/2にするのは何故いけないのでしょうか?
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| A9: |
この質問の趣旨がよく理解できないのですが、
GEの心電計では、12誘導10秒間の心電図を収集します。
まず、このデータを心電計内部に取り込む際には、0.05Hzのハイパスフィルターと
150Hzのローパスフィルター、及び、ハムフィルターのみが適用されます。
基本の心電図をフィルターせずに保存しておくことで、後でフィルターをかけたり、
感度や速度を変えて記録表示させることが可能となります。
もし、筋電フィルターをかけてから心電図を保存してしまうと、
フィルター無しの心電図に戻すことは不可能です。
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| Q10: |
胸部誘導のV1〜V6のVはウィルソンのVですか?
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| A10: |
VはVoltage(ボルテージ)のVです。
例えば、aVRは英語でaugmented voltage right と言います。
ちなみに、アメリカでは胸部誘導をVで表しますが(AHA)、
日本で使用されている心電計は、IEC(International Electrotechnical Commission)規格に従ったものが多いため、
胸部誘導はIEC規格の定めるCで表されます。
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| Q11: |
DBSの交流傷害は何とかなりませんか?
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| A11: |
参考にDBSによる、ノイズ混入の心電図を頂きました。
規則正しい、交流障害のようなノイズが混入していますが、周期が約33Hzとなっており、
AC電源からの障害では無く別の要因があるようです。
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| Q12: |
差動増幅器があるのに、なぜ交流が入るのですか?
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| A12: |
+と−に全く逆相で同振幅の信号が入れば、完全に打ち消されます。
しかし、体表面で誘起される交流ノイズは、大きさにバラツキがあります。
また、皮膚と電極の接触インピーダンスも同一ではありません。
そのため、差動増幅器だけで交流傷害を完全に取り除くことは出来ません。
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| Q13: |
バッテリー駆動の心電計の場合、電源がコンセントに刺さっていませんが、アースは普通どのようにされているのでしょうか?
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| A13: |
AC電源の場合にアース線を接続するのは、被検者や操作者に電流が流れ、感電するのを防ぐためです。
これは、家庭用の100Volt電源を作る際に片側が大地に接続されており、
家庭に配線されている電源から漏れ電流が発生すると、体を通じて大地に電流が流れるからです。
これを防ぐために抵抗値の低いアース線を接続し、アース線に電流を流すことで、感電を防止します。
バッテリー駆動の場合は、漏れ電流があったとしてもAC電源のように体を通じて大地に電流が流れることは無いため、
アース線を接続する必要はありません。
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