■ 研修会の報告


微生物分野
06-060
日時:平成19年03月17日(土)(14:00〜18:00;京都府立医科大学基礎医学学舎 第二実習室)
参加人数:26(26)人 分類:C-80-15点
主題:最近の寄生虫症の診断
講師:山田 稔 助教授(京都府立医科大学大学院寄生虫病態講座)
 
日本における寄生虫感染症は一時減少していたが、海外旅行の増加や海外からの寄
生虫感染者の入国、免疫抑制剤投与による寄生虫症の顕著化等により、日本でもしだいに増加傾向にある。寄生虫感染症の迅速かつ的確な診断が重要な感染対策につながる。
1.講義内容
1.新興・再興・日和見原虫症
2.診断の困難な幼線虫移行症
3.最近増加している無鉤条虫症
4.当教室の経験した寄生虫症
5.当教室の経験したマダニ刺咬症
6.主な吸虫線虫
 上記の寄生虫感染症について最近の動向、鑑別のポイントや染色法、症例などを呈示していただいた。
 今まで日本国内で広節裂頭条虫と言われていた条虫は遺伝子検査の結果、北米の広節裂頭条虫と違った種であり、日本海裂頭条虫と新たに位置づけられた。今まで広節裂頭条虫と報告されていたものは、日本海裂頭条虫の可能性が高いが、ホルマリン固定された虫体では遺伝子検査が不可能であり過去の検証をすることができない。遺伝子検査により今後も寄生虫の分類が変更される可能性があり、常に新しい情報を収集していかなければいけない。
2.実習
 以下の材料から各自標本を作製し、鏡検を行った。
・赤痢アメーバ 栄養型、シスト 
・大腸アメーバ シスト
・ランブル便毛虫
・横川吸虫卵
・肝吸虫卵
・無鉤条虫卵
 
今後も寄生虫症診断の為に定期的に実習を行い、寄生虫の出現に備えておく必要があると考えられた。
平成19年03月28日報告:山田 幸司


06-046
日時:平成19年01月12日(金)(19:00〜20:30;ハートピア京都)
参加人数:12(12)人 分類:C-10-10点
主題:平成18年度京臨技精度管理報告
講師:丹羽 紀実 技師(京都大学医学部附属病院)
主題:細菌の同定と同定キットについて
講師:相楽 弘文 氏(日水製薬株式会社 マーケティング部)
協賛:ブリストル・マイヤーズ株式会社
演題1
 まだ、集計が完全に終わっていないということで、速報という形式での報告でした。
 試料1は感染性心内膜炎の症例で、菌名としては、α-Streptococci等の表記で治療法としては、PCG(+GM)が第一選択で投与期間は長期間(2〜4週間)行う。そして、患者様が小児であることを考慮した回答が理想です。
 試料2は血液培養が陽性の症例で、菌名としては、Staphylococcus sp.(MRCNS)等の表記で治療法としては、VCMやTEICなどを選択し、5〜10日間する。そして、腎機能がやや低下していることも考慮した回答が理想です。
 試料3は菌名のみの回答で、Salmonella sp.O-9群等の表記で、生化学的性状ではリジン脱炭酸試験が陰性の非典型的な菌株でした。
 試料4は塗抹検査のみの回答で、オープン参加という形式でした。検体は、白血球が認められ、グラム陰性桿菌が認められる単純性尿路感染症の標本でした。脱色が不十分でグラム陽性という回答や、抗酸菌がいると答えた施設もあったそうです。また、各施設での染色試薬の使用状況や、結果の報告形式においても、やや差が見られるとの報告でした。

演題2
 日水製薬の相楽氏がIDテスト・NF-18、IDテスト・SP-18、IDテスト・HN-20等の細菌同定キットに用いられている数値同定法をわかり易く説明されました。ただ単にデーターを数値化するだけではなく、中間色を示し易い項目には誤判定に対するエラーリスクを設定することにより、値が補正されるように工夫されています。
 また、その他の工夫としては、同定結果を従来法と一致させるために感度アップしたり、従来法では培養時間が異なる項目を同時に判定するために培地等を調整したり、また、経時変化の抑制のために培地、包装形態の改良等が行われています。
 また、同定キットを使用した際に同定不能になる原因としては、同定キットの選択の間違い、接種菌のコンタミネーション、選択分離培地からの直接釣菌・接種、不適切な接種菌液濃度、新鮮でない培養菌の接種などが考えられます。
 これらの対応としては、取扱い説明書に従ってもう一度グラム染色で菌の形態を確認して、適当な培地を使用し、コンタミネーションがないか純培養して、新鮮な菌で、適切な菌液濃度に調整して再検査をしてください。と説明してくださいました。
平成19年01月12日報告:田中 裕人


06-040
日時:平成18年12月12日(金)(19:00〜20:30;ぱるるプラザ京都)
参加人数:35(35)人 分類:C-10-10点
主題:抗菌薬のPK/PD
副題:-その基礎と実際 セファロスポリンを中心に-
講師:高木 宏明 氏(ブリストル・マイヤーズ株式会社メディカルアフェアーズ メディカル情報サービス部)
協賛:ブリストル・マイヤーズ株式会社
<はじめに>
 医薬品の適正使用ならびに開発における体内の薬物動態特性の重要性が広く認識され、
科学的実証に基づいた薬物動態影響因子を解明する研究に多大な関心が寄せられるようになりました。耐性菌の増加、compromised hostの増加による難治性感染症の増加が著しい現代において、抗菌薬をいかに適正に使用するかは大きい課題となります。PK/PDの検討により、満足できる臨床効果が得られる投与量、投与間隔の設定、及びTDMにより適正な投与量、投与間隔への変更が可能となり、今後抗菌薬のより適正な使用が可能になると思われます。
<講演内容>
 今回の講演では、セファロスポリン系抗菌薬のPK/PDに関する内容でしたが、時間依存性であるこの抗菌薬では、Time above MICが重要なパラメーターとなり、算出するためにPHK(健常成人の血中濃度推移)が必要となります。この方法では、健常人の平均値による推論であり、患者個々に応用することは出来ないため、1つのシュミレーション方法としてモンテカルロ法を紹介して頂きました。モンテカルロ法は、数値計算の重要なテクニックの1つで、乱数を発生させて確率的に起きる現象をシュミレートし、サンプル法による積分に使用する方法です。この方法では、集団としての確率分布曲線を計算することが出来ますが、まだ不十分なところもあり、今後、患者個人のデータ集積から一般則を求め、患者へフィードバックすることが必要となってきます。
 今回の講演を聞いて、薬剤感受性検査の結果を単に(S)、(I)、(R)やMIC値で報告するだ
けではなく、PK/PD理論を取り入れた検査方法を導入し、抗菌薬の適正使用につながる検査結果の報告をしていく必要があると感じました。
平成18年12月12日報告:高橋 裕治


06-040
日時:平成18年11月17日(金)(19:00〜20:30;ぱるるプラザ京都)
参加人数:32(32)人 分類:C-10-10点
主題:インフルエンザ総合対策
副題:-新型インフルエンザウイルスに備えて-
講師:酒井 信夫 氏(デンカ生研株式会社学術営業推進部)
主題:インフルエンザウイルス検査の現状
講師:林 彰彦 技師(京都市立病院)
協賛:デンカ生研株式会社
 インフルエンザウィルス感染症の本格的な時期を迎えるにあたり“インフルエンザ検査の
現状”というテーマと今後ヒトへの感染が懸念される高病原性トリインフルエンザウィルスについての講演があった。
 
主な内容は、1)インフルエンザウィルスの分類(オルソミクソウィルス科RNAウィルス),構造(ヘマグルチニンHA:シアル酸レセプターに結合してウィルスの細胞内侵入に関与,ノイラミニダーゼNA:感染細胞内で複製したウィルスの遊離を促進),命名法(型ABC/分離地/分離番号/年/HAとNAの型)などについて、2)測定の注意点と関連する問題について、@検査のタイミング(発病から三日以内、但し12時間以内では陰性の場合がある)A検体採取(咽頭拭い液よりも鼻腔洗浄液の方がウィルスの量が多い)B測定原理Cキットの信頼性と限界D結果の判定と解釈(ラインが薄い場合→肉眼で確認できれば陽性,判定時間が過ぎた場合→時間厳守,AB両方にライン;非特異or両方陽性→保留または他方で確認)D入院での問題(院内発症→部屋を別に)などについて分かり易く説明をして頂いた。また、高病原性トリインフルエンザウィルス(H5N1)の流行については現在のところフェーズ3に位置づけられている。(ヒトへの新しい亜型のインフルエンザ感染が確認されているが、ヒトからヒトへの感染は基本的にない)トリインフルエンザウィルス(H5N1)の病原性は、HAの開裂部位のアミノ酸に変異が認められ宿主細胞のエンドプウロテアーゼで容易にHAが開裂されるために多臓器増殖生を示すということである。(弱毒型インフルエンザウィルスの場合、HAの開裂にトリプシン様の蛋白分解酵素が必要で感染部位は腸管や上気道に限局される)
 京都では京都市立病院の林先生が中心となってインフルエンザウィルス測定データ共有化
の試みと目的で“京都インフルエンザネットワーク”を立ち上げ活動されています。Eメールを利用して京都府下での流行を集計し、結果をリアルタイムに参加施設に返送し院内への情報発信と動向や調査解析に役立てられています。
(問い合わせ先:influenzanetwork@gmail.com )
平成18年12月07日報告:足立 睦宏


06-038
日時:平成18年11月17日(金)(19:00〜20:30;京都テルサ 第四会議室)
参加人数:27(27)人 分類:C-10-10点
主題:グラム陰性桿菌の薬剤耐性と疫学的背景
講師:小松 方 技師(ファルコバイオシステムズ総合研究所)
協賛:(株)栄研化学
 薬剤耐性菌の増加や院内感染が大きな問題となっている今、薬剤耐性菌をよく理解し確実に検出することが求められています。今回の講演では、最近問題となっている数種類のグラム陰性桿菌の薬剤耐性について、薬剤耐性機構や耐性の検出法、耐性菌感染症の症例などをわかりやすく講演していただきました。
β-ラクタマーゼ産生菌については、ESBLs(Extended-spectrum beta-lactamase)、メタ
ロβラクタマーゼ(MBL)、プラスミド関連AmpCβラクタマーゼが問題となっているが、薬剤感受性の結果を基に耐性を検出し、それぞれの耐性の解釈に基づいた報告を行う必要がある。しかしすべてが薬剤耐性のパターンニングにあてはまるとは限らず、誤った耐性と判断してしまう可能性がある。ESBLの検出法にはClavulanic acid-additional testがあるが、ESBLとAmpC過剰産生の両方の耐性を持つような菌はクラブラン酸で阻害されないために注意が必要である。

多剤耐性緑膿菌Multi-drug resistant P.aeruginosa(MDRP)は、フルオロキノロン、広域βラクタム、アミノ配糖体等に耐性を獲得した株で、多剤耐性の獲得にはポンプ異常やメタロβラクタマーゼなどの数種の耐性機構があり複雑である。MDRP感染症の抗菌薬治療は
困難なことが多いが、MICの低い薬剤を組み合わせて併用する、持続点滴によってMIC以上の血液中濃度を長時間持続させる、またPolymyxin BやColistinを用いるなどの方法がある。
グラム陰性桿菌の薬剤耐性機構はグラム陽性菌と比べて複雑な面があるが、それぞれの薬剤耐性のパターンニングをしっかり理解すれば、アウトブレーク発見や治療薬選択のよい情報となる。

平成18年11月17日報告:本田 奈緒子


06-013
日時:平成18年06月30日(金)(19:00〜20:30;ぱるるプラザ京都)
参加人数:48(48)人 分類:C-80-10点
主題:クォンティフェロンTB-2Gにおける結核感染の診断
講師:鈴木 克洋 医師(国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
協賛:(株)日本ビーシージーサプライ、(株)ファルコバイオシステムズ
 1.結核の基礎
 結核は空気感染のみ(飛沫感染しない)でヒトからヒトへ感染する伝染病である。また結核には感染と発病の2段階がある。QFTはツベルクリン反応検査(ツ反)と同様に結核菌感染を調べることができる検査である。
 2.結核の院内感染対策におけるQFTの有用性
 QFTはBCGに対する細胞性免疫には反応しない。結核に対する感度は89%、特異度は98%である。2005年の各年代の推定結核感染率(医療従事者は2から3倍の感染率と予測)とQFT陽性率は相関していたが、推定結核感染率とツ反の間に関連性はなかった。QFT陽性率とツ反で水疱が認められた群は、強陽性群や二重発赤群と比較して関連性が認められた。
 3.結核の接触者検診におけるQFTの有用性
 ツ反の発赤径とQFTの相関は認められなかった。QFTの臨床応用としては、1)職員院内感染対策への応用、2)集団感染事例への応用、3)結核診断(発病者)への応用が考えられる。結核診断におけるQFTの感度は、未治療患者で94.9%、治療中患者で78.6%、過去に結核癧のある患者では64.9%、結核以外の患者では15.2%であるとの報告がある。
 今後のQFTの課題として、1)小児科領域での利用、2)接触者検診における検査のタイミング(暴露後3ヶ月がよいとの報告もある)、3)治療経過との関連、4)判定保留例の扱い、5)採血から抗原刺激までの時間経過との関連性などがあげられた。 
 QFTは結核感染の診断に有効であると考えられた。
平成18年07月03日報告:小森 敏明


05-055
日時:平成18年02月18日(土)(14:00〜18:00;京都府立医科大学基礎医学学舎1階 第2実習室)
参加人数:21(21)人 分類:C-80-10点
主題:日和見感染症、新興・再興感染症、人獣共通感染症の中の寄生虫症の診断 Part2
講師:山田 稔 講師(京都府立医科大学大学院寄生病態学教室)
 わが国の寄生虫感染率は一時減少していたが、現在徐々に増加している。その原因として、海外旅行による感染機会の増加、海外からの寄生虫感染者の入国、輸入生鮮食品による感染、ペットブームによる動物寄生虫のヒトへの感染、免疫抑制剤投与による寄生虫症の顕著化など様々な要因が挙げられる。しかし、検査室で寄生虫に接する機会は少なく、同定には寄生虫関連図説に頼らざるを得ない。そこで今回、「日和見感染症、新興・再興感染症、人獣共通感染症の中の寄生虫症の診断」というテーマで、講師に京都府立医科大学大学院寄生病態学教室の山田稔先生を招き、講義と実習を行った。
 講義では、人獣共通感染症を起こす主な寄生虫として、線虫、吸虫、条虫、原虫の代表的な寄生虫を紹介された。
 条虫では、単包条虫、多包条虫、日本海裂頭条虫(広節裂頭条虫)、無鉤条虫、有鉤条虫、マンソン孤虫について、形態、感染経路、臨床、治療の講義を受けた。日本海裂頭条虫(広節裂頭条虫)、無鉤条虫、有鉤条虫は長さが数m〜10mもある条虫でヒトの小腸に寄生する。便から条虫の体節が検出される。駆虫薬で虫体排泄をさせるが、虫体の頭部が腸管に残っていれば再発する。広節裂頭条虫は2004年にサーモンの摂食回数が多い京都市の女性から検出された。無鉤条虫は現在わが国にはいなくて、見つかった場合は輸入感染症である。単包条虫と多包条虫の大きさは数mmで、終宿主はイヌやキツネである。ヒトは中間宿主で、卵を飲み込んで感染する。多包条虫は北海道や青森で多く検出されている。
 原虫では、トキソプラズマ、赤痢アメーバ、クリプトスポリジウム、イソスポーラ、サイクロスポーラ、ランブル鞭毛虫、マラリア、リーシュマニアについて、嚢子や栄養型の形態および検査診断法の講義を受けた。クリプトスポリジウムとサイクロスポーラは新興感染症に分類される。原虫の多くは顕微鏡による形態学的検査法の他に、血中抗体測定法、虫体に対する抗体を用いた蛍光抗体染色法、原虫特異的遺伝子を標的とした遺伝子診断法など複数の検査法がある。一部に保険適応もあるが、おおくは研究用試薬で検査費用が高くなる。
 免疫不全患者では原虫感染症の他に、ニューモシスチス・カリニによる感染も多いことから、カリニの講義も受けた。現在では分類学上、ニューモシスチス・カリニは真菌に分類されており、その中でヒトに感染するものはPneumocystis jiroveciiとして分類されている。臨床的にはカリニ肺炎を発症し、免疫不全による日和見感染が多い。ヒトからヒトへの感染も成立する。診断には気管支肺胞洗浄液や喀痰などを検体として、ギムザ染色、GMS染色、Cellufulor染色による虫体の直接証明、免疫学的診断法、遺伝子診断法などがある。真菌に分類されるが培養できない。
 実習では顕微鏡を用いて原虫とカリニの形態観察を行った。対象とした原虫を示す。1)サイクロスポーラ:オーシストの自家蛍光、2)P.jirovecii:嚢子のCellufulor染色、ラット肺スタンプのGMS染色、3)赤痢アメーバ:嚢子および栄養体のMF染色、コーン染色、4)クリプトスポリジウム:オーシストの抗酸染色、5)ランブル鞭毛虫:栄養型のギムザ染色、嚢子のMF染色、6)イソスポーラ:オーシストのコーン染色とギムザ染色、7)フォーラーネグレリア:感染脳薄切標本。また、赤痢アメーバを感染させたサル糞便(ホルマリン固定)、ランブル鞭毛虫のMF染色固定液などを分与して頂いた。検査室に持ち帰り、今回参加できなかった技師の鏡検や自己の研鑽に役立てたい。
 最後に、山田先生には4時間もの長時間を一人で担当して頂き、わかりやすい講義と綺麗な資料、親切な実習を本当にありがとうございました。
平成18年02月18日報告:小森 敏明


05-040
日時:平成18年02月09日(金)(19:00〜20:30;ぱ・る・る プラザ京都)
参加人数:21(21)人 分類:C-80-10点
主題:感染症遺伝子検査最前線
講師:大楠 清文 助手(岐阜大学大学院医学研究科再生分子統御学講座)
共催:滋賀県臨床衛生検査技師会
協賛:極東製薬工業株式会社
 
PCR法には、Hot-start PCR、Multiplex PCR、Nested PCR、RT-PCR、Broad-range PCR、Real-time PCR、Quantitative PCRといったバリエーションがある。また、最近になりPCR法に比較し簡便な装置で行える拡散増幅法としてNASBA法、TRC法やLAMP法が開発され注目されている。感染症検査領域における遺伝子増幅法の利点として、早期診断 ・抗菌薬投与後の病因診断、培養不可能な病原体の検出、遅発育性病原体の検出、極めて病原性の強い微生物の検出、耐性遺伝子の検出、病原因子・毒素の検出 ・未知の病原体検出の可能性などがある。
 細菌の菌種同定には、通常、生化学的性状、血清型分類、数値分類といった方法を用いられる。これらの方法では同定困難な菌株に遭遇するが、そのような場合において遺伝子学的な方法が有用であったとの報告を多くの症例を用いてご提示いただいた。染色体DNAの定量DNA/DNAハイブリダイゼーション法で基準株との間に70%以上の相同性が認められれば同一菌種と同定できる。また、16SrDNA塩基配列では97%以上の相同性が認められれば同一菌種と同定できる。
 
今回の講演で、感染症検査における遺伝子検査技術の活用法や可能性がよく理解でき、導入の必要性を強く感じた。まだすべての検査室で行える技術とはいえないが、より簡便、安価になりすべての検査室で導入できるよう、さらなる技術進歩に期待したい。
平成18年04月08日報告:山下 知成


05-053
日時:平成18年02月07日(火)(19:00〜20:30;キャンパスプラザ京都)
参加人数:44(44)人 分類:C-80-10点
主題:多剤耐性緑膿菌と抗菌薬排出システム
講師:後藤 直正 教授(京都薬科大学微生物学教室)
共催:滋賀県臨床衛生検査技師会
協賛:日本ビオメリュー株式会社
 
緑膿菌は人の体内や環境に広く分布するグラム陰性桿菌で、日和見感染症の起因菌の代表格として重要な菌である。本菌は、多系統の抗菌薬や消毒薬に自然耐性をもつことから示すことから院内感染症の起因菌としても重要である。抗緑膿菌活性を持つキノロン、アミノグリコシドやカルバペネム系薬に同時耐性を獲得した株(多剤耐性緑膿菌と呼ばれる)が出現し問題視されてきている。
 
グラム陰性菌での抗菌薬耐性は、1)変異による作用標的の変異、2)酵素産生による抗菌薬の不活化、3)外膜透過経路の減少、4)排出システムによる能動的排出によって起こることが知られている。緑膿菌の多剤耐性は、キノロン耐性をもたらすDNAジャイレースやDNAトポイソメラーゼMの変異、アミノグリコシド耐性をもたらすリボソームの変異や不活化酵素の産生、カルバペネム耐性をもたらすメタロβラクタマーゼ産生やOprDポーリンの欠損などの耐性機構が複合的に働くことにより起こると考えられてきた。しかし、緑膿菌の染色体上にはキノロン、アミノグリコシド、カルバペネム耐性に同時に働く排出システムがコードされていることが明らかになったとのことであった。この排出システムは、生育環境中に存在する抗菌薬を含めた多種の異物の侵入から自己防衛する機構であり、また代謝産物の細胞外の輸送機構として存在する。緑膿菌には、少なくとも12種類の排出システムが存在し、それぞれの排出システムは、同じ異物や代謝産物に対して働くのではなく、ベータラクタムやアミノグリコシド耐性への影響はそれぞれの排出システムにより異なるとのことであった。
平成18年04月08日報告:山下 知成


05-039
日時:平成17年11月25日(土)(19:00〜20:30;京都テルサ)
参加人数:26(26)人 分類:C-80-10点
主題:ヘリコバクターのバブルははじけたのか?
副題:Helocobacter pylori 感染症の新しい展開
講師:福田 能啓 助教授(兵庫医科大学 消化器内科)
共催:協和メディックス株式会社
 
Helicobacter pyloriは、胃の粘膜に生息し、強力なウレアーゼ活性を有するラセン状グラム陰性桿菌で、1982年WarrenとMarshallによって発見された。この菌は、胃粘膜の上にある粘液層内を運動し、ウレアーゼで菌体周囲をアルカリ化させて、胃液の酸性環境下で生育している。環境条件が悪くなると球形のcoccoid formになり糞便中へ排泄される。感染経路は「口―口感染」と「糞―経口感染」が疑われ、胃炎、消化性潰瘍、胃癌、リンパ腫などの消化器疾患に密接に関与し、除菌療法がこれらの疾患の治療または予防になることが明らかになった。日本人の感染率は年齢が高くなるほど高く、40歳以上では70〜80%が感染していると思われる。最近は全身性疾患との関連性の研究も進みつつあり、H. pylori感染症の新たな展開が期待されている。
H. pyloriの感染診断(除菌判定)には、内視鏡による生検組織を必要としない方法として、尿素呼気試験、血清抗H. pylori抗体測定、便中H. pylori抗原測定がある。治療には「プロトンポンプ阻害剤+アモキシシリン+クラリスロマイシン」の1週間投与が第一選択薬とされている。
日本ヘリコバクター学会ガイドライン2003による、本邦での除菌適応疾患とし次のものがあげられている。
1.除菌治療が勧められる疾患として、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫
2.除菌が望ましい疾患として、早期胃癌に対する内視鏡的粘膜切除術後胃炎、胃過形成性ポリープ
3.除菌治療の意義が検討されている疾患として、機能性ディスペプシア、胃食道逆流症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、鉄欠乏性貧血、慢性蕁麻疹、虚血性心疾患などがある。
胃癌発生メカニズムはいまだ解明されていないが、細菌側因子(VacA,CagA)による細胞増殖能の促進や、宿主側因子(サイトカイン遺伝子多型)による炎症の促進とDNA障害を来たす機序が想定されている。胃癌の発生にはいろいろな要因が関連しているが、H. pyloriに感染していると、感染していない場合に比べて約5倍胃癌になりやすいと計算される。
平成17年12月09日報告:林 彰彦


05-037
日時:平成17年10月01日(土)(14:00〜17:00;京都保健衛生専門学校)
参加人数:13(13)人 分類:C-80-10点
主題:薬剤感受性検査
講師:崎浜 秀剛 氏(ファルコバイオシステムズ総合研究所)
講師:石川 加奈子 技師(ファルコバイオシステムズ総合研究所)
共催:有限会社 テクノアメニティ
<はじめに>
 真菌検査は未だに形態的な分類が主であり、その修得にはかなりの経験を必要とする。臨床検査室では、アスペルギルスやペニシリウム等の一般的な真菌を目にする機会は多いが、少し検出頻度の低い菌種になるとその形態的な特徴を掴むのは容易ではない。
今回、ファルコバイオシステムズの崎浜先生にはセロテープを用いての簡易的な標本作成と鏡検方法をご指導いただき、日常に活かせる実習になったと思われる。また、ご講演では病原真菌の理解が深まったと思われる。
<内容>
 実習では、28種類の菌株についてPDA培地での巨大集落の観察とセロテープ法による簡易的な塗抹標本の作製により各自が顕微鏡で観察した。
 セロテープ法による標本作成は、短時間で簡便に大分生子や胞子の観察が可能であるが、安全キャビネット内での作業が必要である。しかし、AspergillusやPenicillium等の小分生子の多い菌では気泡が混入して観察が困難な場合もある。このような場合には、洗浄操作により余分な小分生子を取り除いてからの標本作成が求められる。
 セロテープによる標本作成は、@スライドガラスを準備する。Aラクトフェノール・コットンブルー液を一滴、滴下する。Bセロテープを3〜5cmほどの長さに切る。Cセロテープの糊面を巨大集落に軽く押し付ける。D糊面を下にしてスライドガラスの染色液部分に貼り付ける。という手順である。注意点としては、集落に強く押し付けないことや菌がセロテープからはみ出さないようにすることである。実習では、参加者各人がセロテープで標本を作製して観察したが、同定のポイントとなる部分を見つけ出すのに苦労していたようである。しかし、真菌の同定は未だ形態的なものであり、正しい同定を行うには、良い標本作りと根気のある観察が必要である。
 一通り実習が終わった後、Xテクノアメニティー様のご協力で、作成した標本の顕微鏡像をプロジェクターで写し、崎浜先生より各菌種の鑑別ポイントの解説をしていただいた。
 尚、この時の顕微鏡像はパソコンに取り込んでおり、後日、CDにて参加者に配布するとのことであった。
平成17年02月28日報告:山本 勇蔵


04-036
日時:平成16年09月24日(金)(19:00〜20:30;ぱるるプラザ京都)
参加人数:25(25)人 分類:C-10-10点
主題:薬剤感受性検査
副題:検査室からの新しいアプローチ
講師:小松 方 技師(天理よろづ相談所病院臨床病理部)
共催:栄研化学(株)
 
微生物検査室領域が、今後、取り組まなければならない課題の中で、抗菌化学療法への参画について、薬剤感受性検査の現状と、PK/PD理論の概念・導入について講演された。
 薬剤感受性検査は、治療薬を選択する検査であり、正しい起炎菌判定のもと、抗菌化学療法の方向性を決定できる検査でなければならない。
現状の薬剤感受性検査の問題点は、
@あいまいな起炎菌判定が行われている。
A起炎菌に対して必要性を勘案せずに薬剤感受性検査が実施されている。
B日本の抗菌薬用法、用量が異なるにも関わらず、米国のNCCLS判定基準を使用している。
ということである。
@起炎菌判定は、塗抹検査所見の急性炎症所見が重要であり、新鮮な急性炎症所見を認める検査材料より検出される菌を起炎菌と判定する。また、起炎菌判定には、臨床所見情報も不可欠であり、臨床側とのコミュニケーションが必要となる。
A薬剤感受性検査の必要な検出菌は、常用薬剤に対する耐性が知られている、感染の明らかな起炎菌や、抗菌薬療法の用法用量が重要となる感染症から検出された起炎菌である。逆に必要のない菌は、起炎性が明確でない検出菌や、起炎菌を検出・特定できた時点で治療薬・治療方法が定まる起炎菌の場合などである。
B日本の抗菌薬用法、用量にあった薬剤感受性検査判定基準が必要であり、今後、PK/PD理論の導入が必須となる。Pharmacokinetics (PK、薬物の体内動態、薬物動態学、薬物速度論)とは、薬物が体内でどのように時間的に変化するかを説明するものであり、Pharmacodynamics (PD、薬力学)とは、微生物への薬物による直接的な効果をみるもので、微生物に対する薬物量(濃度)と薬物の薬理効果の関係を説明するものである。今後、PK/PD理論が導入され、日本の実情に合った判定基準が構築される。
これからの薬剤感受性検査は、正しい起炎菌判定のもと、抗菌化学療法の方向性を決定できる検査に変わることが必要である。
平成17年02月28日報告:小野 保


04-035
日時:平成16年09月10日(金)(19:00〜20:40;ぱるるプラザ京都)
参加人数:25(25)人 分類:C-80-10点
主題:臨床医が求める感染症検査とその報告
講師:水谷 哲 医師(大阪警察病院 感染管理センター)
 
医療を取り巻く現状を踏まえ、感染症検査は感染管理部門(サービス部門)への方向転換が課題である。迅速・正確・経済性、コンサルテーション(感染症学)、病院疫学サーベイランス、危機管理(院内感染や訴訟)を通じて、在院日数の減少に貢献する必要がある。 DPC実施後の予想としては、経済性を考慮した不用検査のふるいわけ、PK/PDに基づく抗菌薬治療、安価で有効な抗菌薬の選択、微生物と感染管理の両方が求められる。つまり「医療経済と患者満足度」が今後重要になる。
 臨床医は何をもとめるのか。医師からは、グラム染色から迅速な菌種推定、培養からは、途中経過や起炎菌情報、感受性からは、結果の載っていない抗菌薬の推定感受性であり、院内感染対策が必要なのかである。これに対し検査の専門家としの技師には、検体の採取保存方法、まれな菌情報、PK/PDによる薬剤投与情報、感染経路別対策や耐性菌情報、検査の限界などが求められている。要約すると、機転、迅速性、コミニケーション、専門知識の4つである。
 大阪警察病院は、534床、1日の外来1911名、平均在院日数15.3日、97.5%の稼働率、微生物は4人の技師で運営している。症例の理解と検査と治療の問題点解決を目的に、4名の技師と感染症専門医の計5名で、病棟ラウンドを行っている。このラウンドから、薬剤性下痢の改善や有効な抗菌薬への変更などにより患者治療へ貢献とともに、技師の知識の向上にも役立っている。感染症専門医は、臨床と検査室をつなぐ役割を担っている。
 水谷先生の存在は、検査技師と医師、看護師、薬剤師など感染症をチーム医療として取り組む上で欠かせない存在である。しかし感染症専門医がいる病院は少なく、その役割は検査技師が担う必要がある。臨床微生物学と同時に感染症学や疫学、コミニケーション術と学ぶことは多い。
平成17年02月28日報告:林 彰彦


04-031
日時:平成16年08月07日(土)(14:00〜18:00;京都府立医科大学基礎医学学舎1階 第2実習室)
参加人数:18(18)人 分類:C-80-10点
主題:日和見感染症、新興・再興感染症、人獣共通感染症の中の寄生虫症の診断
講師:山田 稔 氏(京都府立医科大学医動物学教室)
 新興・再興感染症は、「新たに出現した、再現してきた、あるいは薬剤耐性を獲得してきた感染症で、その人類における発生率が過去20年間の間に増加し、またはその発生率が近い将来増加するおそれのあるもの」と定義される。新興・再興感染症に関わる疾患には、ラッサ熱やエボラ出血熱、クリプトスポリジウム症、AIDS、ツツガムシ病、ライム病、薬剤耐性マラリアなどがある。また、日和見感染症は、「健常人に対して感染しないか、感染しても発病しないか、あるいは発病しても自然治癒するような病原体が、免疫力が低下したヒトに対して著しく重症の感染を生じるもの」と定義される。日和見感染症を引き起こす病原体には、ニューモシスチス・カリニやトキソプラスマ、クリプトスポリジウム、ランブル鞭毛虫、赤痢アメーバ、アカントアメーバ、糞線虫などがある。さらに、人獣共通感染症は、ウイルス、細菌、真菌、原虫、蠕虫、節足動物など多様な病原体が関与する。
 新興・再興感染症、日和見感染症、人獣共通感染症に関与する微生物の中でも、寄生虫は大きな割合を占めている。これらの内容を山田先生にプリントとスライドを交えてわかりやすく説明していただいた。
 その後の実習では、赤痢アメーバ、ランブル鞭毛虫、ニューモシスチス・カリニ、日本住血吸虫、クリプトスポリジウム、サイクロスポーラ、イソスポーラ、熱帯熱マラリア、三日熱マラリアを顕微鏡を使い観察した。
 感染症は様々な病原体によって引き起こされる。日本を含めて、世界がますますグローバル化される中、寄生虫感染はさらに重要になってきた。今回は講義と実習で4時間もの時間を山田先生にお世話になり、大変有意義な勉強をさせて頂いた。
平成17年02月28日報告:小森 敏明


04-026
日時:平成16年07月09日(金)(19:00〜20:30;キャンパスプラザ京都)
参加人数:12(12)人 分類:C-80-10点
主題:下痢原性大腸菌の検査法について -EHECを中心に-
講師:黒川 学 氏(神戸市環境保健研究所)
共催等:極東製薬工業株式会社
<はじめに>
 下痢原生大腸菌という名称は、未だ分かったようで分からないところがある。その呼称も病原大腸菌であったり、腸管出血性大腸菌と同じように解釈されていたりである。
 今回の黒川先生のご講演では、黒川先生自身が持たれている3つの疑問を中心に話しをされ、そのところを明快にしていただいたと感じる。先生の疑問とは、次の通りである。
(1)血清スクリーニング陰性の場合に、本当に腸管出血性大腸菌は陰性なのか?
(2)血清スクリーニング陽性で、志賀毒素陰性の大腸菌の取り扱いは?
(3)大腸菌血清によるスクリーニングで、陽性を示す赤痢菌(共通抗原を有する)があるが、そのような菌株に遭遇したときに、どうすればよいのか?
 以下に、講演の内容を報告する。
<講演内容>
(1)血清スクリーニング陰性の場合に、本当に腸管出血性大腸菌は陰性なのか?
(2)血清スクリーニング陽性で、志賀毒素陰性の大腸菌の取り扱いは?
 腸管出血性大腸菌(EHEC)の原因菌である大腸菌は、STEC(志賀毒素産生大腸菌)又はVTEC(ベロ毒素産生大腸菌)と記載されるが、STECの方が世界的には正しいとのことであった。EHECとSTECの呼称の違いは、STECは単に志賀毒素を産生する大腸菌であり、EHECはSTを持ち出血性大腸炎を起こすものとなっている。これが感染症法の概念であり、仮に大腸菌以外の腸内細菌がST産生能を有し、出血性腸炎を起こしても「腸管出血性大腸菌」には該当しない、という解釈になる。
 下痢原生大腸菌の分類は、現在O血清型で1〜181まで報告されており、その病原性から「腸上皮細胞に付着するもの」と「毒素を産生するもの」及び腸管侵入性大腸菌に大別され、さらに病原遺伝子の分類から9種類に分類されている(表1参照)。
最新の報告ではO181までの血清型の内で149もの血清型(82.3%)において志賀毒素の産生が報告されている。市販の抗血清(デンカ生研)の数は43種であり、当然これだけでSTECの検出は、不可能である。このように、黒川先生は、抗血清によるスクリーニングでは限界があることを示され、志賀毒素そのものは先に検出する方法を示された。
その方法は、E-hly(エンテロヘモリジン)を検出する市販培地の活用であった。この培地はビオチン培地と呼ばれる血液寒天培地である。この培地に大腸菌を画線培養するとβ溶血を示すことから、志賀毒素産生の有無をスクリーニングできる。具体的な方法は、一枚の培地を升目状に分割して大腸菌を接種する。大腸菌の産生する溶血素には、E-hly以外にα-hlyがある。α-hlyによる溶血は3時間後に出現することから、3時間後に先ず観察して、溶血しているものを(-)とする。次に18時間後に観察して溶血しているものを同定する。これにより、O血清に惑わされずに、志賀毒素産生の大腸菌を検出することが可能になる、というものであった。
 志賀毒素の同定方法については、イムノクロマト法によるキットが幾つか発売されており、それらの製品についても説明があった。これについては、毒素抽出試薬の検討について詳細に述べられていたが、1)デンカ生研のポリミキシン-Bは専用とする。2)自家調整試薬の場合、界面活性剤とリン酸Buffer入りのポリミキシン-B溶液が良い。3)ワコー純薬のポリミキシン-B溶液は他のキットにも使用できる、との結果を報告していただいた。
注意事項として、イムノクロマト法の判定時において薄いバンドが見える場合は、検出感度近くの毒素量の可能性があるので、高濃度の菌液調整で再検査を行うことを教えていただいた。また、食品従事者の検便で、志賀毒素非産生のO1やO18が長期に渡り検出される場合は、EPECの可能性があるとのことであった。何れにしても、不明な点があれば地方の衛生研究所に連絡をしていただきたい、とのことであった。
(3)大腸菌血清によるスクリーニングで、陽性を示す赤痢菌(共通抗原を有する)があるが、そのような菌株に遭遇したときに、どうすればよいのか?
 これについては、赤痢菌の誤同定が新聞記事になったことを取り上げ、腸管侵入性大腸菌と赤痢菌の鑑別の重要性を説明された。遺伝子学的には、大腸菌と赤痢菌はほぼ同一であることから共通抗原を有している。つまり、赤痢菌の抗血清にも凝集が起こることになる。このため、赤痢菌の鑑別は生化学性状による同定が重要であるが、同定キットは不慣れによる誤同定が起こりやすい。赤痢菌の同定には、TSI、LIM等の従来の鑑別培地の使用により赤痢菌であることを確実にし、その後血清型を検査するのが良い、とのアドバイスをいただいた。<まとめ>
 以上のように、下痢原生大腸菌の検査は悩ましいところが多く、特に抗血清を用いての検査は煩雑であり時間もかかるところから、多くの細菌検査室で苦労されていることと思う。しかし、腸管出血性大腸菌の定義が、志賀毒素産生の大腸菌であることを前提にしているのであれば、確かに志賀毒素の検出を最初に行うのが合理的であると考える。また、その具体的な方法も教えていただいたことから、黒川先生の提唱された方法を当施設でも取り入れ、確実に腸管出血性大腸菌の検出を行いたいと考えている。また、赤痢菌の同定の困難さを改めて認識し、自身の研鑽と後輩の指導にあたりたい。
 最後に、私の怠慢により黒川先生のご講演の報告が遅れたことで黒川先生のタイムリーな話題を活かせず、また会員諸氏にはご迷惑をお掛けしたことをお詫び申し上げます。
平成17年02月28日報告:山本 勇蔵


04-019
日時:平成16年06月19日(土)(15:45〜19:00;ぱ・る・るプラザ京都)
参加人数:65(25)人 分類:C-80-10点
主題:「第4回京滋感染症セミナー21」
副題:-肺炎の病態、診断と治療-
講師:伊藤 穣 助手(京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学)
講師:朝野 和典 教授(大阪大学医学部附属病院感染制御部)
 今回で4回目となる本セミナーは、肺炎の病態、診断と治療をテーマに行われた。講演1では、京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学の伊藤 穣先生より肺炎起炎菌の動向と薬剤感受性についての報告をしていただいた。講演2では、大阪大学医学部附属病院感染制御部の朝野 和典先生より誤燕性肺炎の診断と治療について、院内肺炎ガイドラインを含めてご報告いただいた。
平成17年02月28日報告:山下 知成


03-029
日時:平成15年7月26日(金)(13:00〜17:45;滋賀医科大学基礎講義実習棟2F A講義室)
参加人数:36(34)人 分類:C-2-10点
主題:原虫・寄生虫感染症と検査
講師:西山 利正 教授(関西医科大学公衆衛生学教室教授)
講師:茂籠 邦彦 技師(滋賀医科大学附属病院検査部)
共催:滋賀県臨床衛生検査技師会
共催:日本ビオメリュ−株式会社
 
西山教授にはマラリアの現況と対策ということで、マラリアの種類と特徴、予防、診断、治療についての最新の情報をお話いただいた。
また、茂籠技師には
1.マラリア原虫(Plasmodium spp.)
 熱帯熱マラリア(Plasmodium falciparum)
 三日熱マラリア(Plasmodium vivax)
 四日熱マラリア(Plasmodium marariae)
2.クリプトスポリジウム (Cryptosporidium paruvm)
3.サイクロスポーラ(Cyclospora cayetanensis)
4.イソスポーラ(Isospora belli)
5.ランブル鞭毛虫(Giardia lamblia)
6.赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)
を用い、原虫・寄生虫の塗抹鏡検の実習をしていただいた。
平成16年04月11日報告:山下 知成


03-059

日時:平成16年01月10日(土)(14:00〜17:00;ぱるるプラザ京都)
参加人数:25(25)人 分類:C-2-10点

主題:重症急性呼吸器症候群(SARS)-現場対応の基礎知識-
講師:石崎 徹 氏(京都府保健環境研究所)
講師:森垣 忠啓 氏(京都府保健環境研究所)
共催:滋賀県臨床衛生検査技師会
 1)SARSの臨床的な特徴、SARSコロナウイルスの特徴、SARS検体のバイオセーフティーガイドラインについての説明と京都環境保健研究所におけるSARSコロナウイルス検査実際の流れを説明をしていただいた。
2)感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の改正(2003年10月16日に公布、11月5日に施行)に伴い、その概要について説明していただいた。
平成16年04月09日報告:山下 知成


03-053

日時:平成15年11月31日(金)(19:00〜20:30;ぱるるプラザ京都)
参加人数:16(16)人 分類:C-2-10点

主題:細菌性膣症の検体検査法
講師:田中 美智男 技師(京都大学医学部附属病院検査部)
共催:栄研化学株式会社
 細菌性膣症の臨床診断基準は、灰色帯下の存在、膣内PHの上昇、クルーセルの存在、およびアミン臭の存在です。細菌性膣症の診断基準は、細菌性とはいうものの細菌学的にはあまり関係のない基準で診断されいる。
細菌性膣症における膣内容物検査の臨床的意義について臨床と共同研究の結果をもとに、BV scoreは有用性を提示していただいた。
また、細菌性膣症における微生物検査アルゴリズムを下記のように提示された。
BVスコア4未満 膣部pH4.5以下→分離培養省略
BVスコア4以上、膣部pH5.0以上
鏡検所見
GVのみ→分離培養省略
LB陰性→分離培養実施
混合菌叢→嫌気培養追加
患者情報
妊娠女性→分離培養実施
平成16年04月09日報告:山下 知成


03−050
日時:平成15年10月31日(金)(19:00〜21:00;ぱるるプラザ京都)
参加人数:22(22)人 分類:C-2-10点
主題:1)培地学総論と培地の品質管理
主題:2)培地の品質評価法−血液寒天培地について−
講師:1)伊藤 潤平 氏(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)
講師:2)大川 三郎 氏(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)
共催:日本ベクトン・ディッキンソン株式会社
 1)培地の原料はほとんどが天然物である。従って、市販培地を利用するうえで、どんな精度管理・受け入れ試験を施そうとも、ある程度のロット間差が存在する。また、培地原料には相性があり、個々の原料として最高のものであっても、その組み合わせによっては最終性能が最前となるとは限らない。個々の原料の生物学的特性を知りつつ、生物学的評価によって培地の品質と性能を判断する必要がある。
 2)NCCLS M22-A2に基づいた市販培地の品質管理方法について詳細な説明を受けた。
敗血症の病原体の遺伝子を迅速に検出し短時間に同定し得るシステムが開発されるつつある。方法論はほぼ完成し臨床応用する直前の段階に達している。本法は細菌25菌種が6時間以内で検出可能である。敗血症の病原診断は未だ不十分なところが多く、本システムが近い将来臨床応用可能となることが望まれる。
平成16年04月09日報告:山下 知成


03-021
日時:平成15年06月21日(土)(15:00〜17:45;ぱ・る・るプラザ京都)
参加人数:43(18)人 分類:C-2-10点
主題:第3回京滋感染症セミナー
-Febrile Neutropenia(好中球減少を伴う発熱)の病態と治療を中心に-
講師:笹田 昌孝 教授(京都大学医療技術短期大学部)
講師:高倉 俊二 助手(京都大学大学院医学研究科臨床病態検査学)
講師:一山 智 教授(京都大学大学院医学研究科臨床病態検査学)
講師:高田 徹 教授(福岡大学医学部第一内科)
共催:滋賀県臨床衛生検査技師会
共催:万有製薬株式会社
 
febrile neutropenia は好中球減少に伴う発熱と訳され、各種の病態に伴って出現する。特に、血液疾患に併発する頻度が高く、血液疾患の入院患者における発熱の過半数は febrile neutropenia である。febrile neutropenia の臨床では、起炎菌不明の感染症対策という側面が重要である。
好中球数が1,000/μL未満に低下すると感染のリスクが上昇し、特に100/μL未満の患者ではおよそ10%が菌血症を発症する。
米国感染症学会(IDSA:Infectious Diseases Society of America)から、好中球減少に伴う発熱に対する抗菌薬の評価方法や治療方法についてのガイドラインも出されている。
1.発熱:1回の口内温が≧38.3℃または1時間以上≧38.0℃が続き、
2.好中球減少症:好中球数<500/μL、あるいは好中球数が<1,000/μLであるがすぐに<500/μLになると予測される場合
の2つを満たす場合と定義されている。
平成16年04月10日報告:山下 知成


03-009

日時:平成15年6月27日(金)(19:00〜20:30;ぱるるプラザ京都)
参加人数:11(11)人 分類:C-2-10点

主題:遺伝子診断の新技術
副題:-PCRとハイブリプローブ法を用いた感染症検査システムの開発-
講師:森 幹夫 氏(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)
共催:ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社
 敗血症の病原体の遺伝子を迅速に検出し短時間に同定し得るシステムが開発されるつつある。方法論はほぼ完成し臨床応用する直前の段階に達している。本法は細菌25菌種が6時間以内で検出可能である。敗血症の病原診断は未だ不十分なところが多く、本システムが近い将来臨床応用可能となることが望まれる。
平成16年04月09日報告:山下 知成


03-006
日時:平成15年06月14日(土)(14:00〜17:00;京都保健衛生専門学校)
参加人数:23(23)人 分類:C-2-10点
主題:嫌気性菌検査の考え方
副題:-レベル1での同定を前提に-
講師:山下 知成 技師(ファルコバイオシステムズ総合研究所)
講師:江成 博 氏(極東製薬工業株式会社)
共催:滋賀県臨床衛生検査技師会
 当日は講演2題と実習を行った。嫌気性菌の同定にはレベル1〜3がある。今回の内容はレベル1の解説と実習を伴う実際のコロニーの観察、Ryuの方法によるグラム鑑別法、組織標本の観察などの実技講習である。
 山下氏は、同定キットを使用しないレベル1、同定キットを使用するレベル2、ガスクロマトグラフィーを用いるレベル3を解説された。病院などでは、適切な検査材料の採取法と保存法が検査結果を左右する因子で、針とシリンジで採取し適切な保存容器に入れ、2時間以内に検査室に届くことが重要である。検査室では、血液・ヘミン・ビタミンKを添加した培地を検出菌に応じて使用することが必要である。臨床側への説明では、嫌気性菌培養の対象となる検体とならない検体を充分周知する必要がある。同時に薬剤感受性試験を行う際の薬剤の選択、βラクタマーゼ産生の有無とその解釈も、医師に説明できる知識も必要であると解説した。
 江成氏は、ヒトの各部位の常在菌叢としての嫌気性菌の構成と分類、嫌気性菌感染症とその問題点について解説された。初代培養にどの培地を選択するか、増菌後ではどう変わるかなど培地の特性と発育菌の組み合わせを熟知することがまず大切である。増菌は全ての菌種が増える訳ではない事を理解して検査を進める必要がある。日本と米国での使用培地の差は問題であるこ指摘した。
 実習では20菌種の嫌気性菌と6種類での培地での発育状況とコロニーの特徴について供覧した。レベル1に必要なRyuの方法、UV下での蛍光発色、溶血状態の確認、鏡検観察をした。短い時間ではあったが講師の精力的な説明と参加者間での経験を聞くことができ充実した実習を体験できた。
平成15年06月25日報告:林 彰彦


03-002

日時:平成15年4月25日(金)(19:00〜20:30;ぱるるプラザ京都)
参加人数:21(21)人 分類:C-2-10点

主題:ICTにおける検査技師の役割
副題:-検査室からのアプローチ-
講師:島川 宏一 技師(天理よろづ相談所病院 臨床病理部)
共催:デイドベーリング株式会社
感染対策における検査室の役割には
1 . 日常検査の充実
2 . コンサルテーション
3 . 感染症動向の把握
4 . 委員会活動
5 . 院内感染発生時の調査,対策の立案
6 . 各学会の各種ガイドラインの認識
などがある。
ICTの活動のなかで検査技師のなすべき役割は多く、また重要である。したがって、われわれ検査技師がICTのなかで果たすべき役割をもう一度考え、専門外の不足する部分を補いつつ、ICTのなかでなくてはならない存在になるよう努力することが重要である。そうすることが現在おかれている臨床検査技師の危機を打破する活路となるであろう。
平成15年04月09日報告:山下 知成


02-043
日時:平成14年12月13日(金)(19:00〜20:30;ぱ・る・るプラザ京都)
参加人数:11(11)人 分類:C-2-10点
主題:肝移植患者におけるウイルス感染症のモニタリング
講師:工藤 豊一郎 助手(京都大学医学部附属病院 検査部)
共催:日本ビオメリュー株式会社
臓器移植が積極的に行われている京都大学医学部附属病院の工藤豊一郎先生をお迎えし、移植とそれに関与する感染症について
1.移植はどこまで広まったか
2.移植の合併症は何か
3.サイトメガロウイルス(CMV)
4.Epstein-Barrウイルス(EBV)
5.EBVとCMVのモニタリング
6.細胞性免疫のしくみ
7.細胞性免疫能のモニタリング
の内容でご講演いただきました。
平成15年05月18日報告:山下 知成


02-042
日時:平成15年11月22日(金)(19:00〜20:30;ぱ・る・るプラザ京都)
参加人数:25(25)人 分類:C-2-10点
主題:インフルエンザの診断技術
講師:加瀬 哲男 氏(大阪府立公衆衛生研究所)
共催:滋賀県臨床衛生検査技師会微生物検査斑
共催:日本ベクトン・ディッキンソン株式会社
 
最近になりインフルエンザの診断技術は非常に進歩してきました。そこで今回は大阪府立公衆衛生研究所 加瀬哲男先生を迎え、ウイルス分離・同定法、ウイルス抗原の検出法、ウイルス蛋白の検出法、ウイルス核酸の検出法(PCRおよびRT-PCR)など個々の方法ついての特徴をご説明いただきました。
平成15年05月18日報告:山下 知成


02-034
日時:平成14年10月18日(金)(19:00〜20:30;ぱ・る・るプラザ京都)
参加人数:19(19)人 分類:C-2-10点
主題:(1)第16回病原真菌講習会伝達講習
主題:(2)「究極 微生物検査の精度管理-採痰指導を中心に-」
講師:崎浜 秀剛 氏(ファルコバイオシステムズ総合研究所)
講師:樋口 武史 技師(結核予防会大阪府支部大阪病院)
共催:株式会社日本ビーシージーサプライ
(1)ファルコバイオシステムズ総合研究所 崎浜秀剛先生には、千葉大学真菌医学研究センターにて開催された第16回病原真菌講習会の伝達講習をしていただいた。
(2)結核予防会大阪府支部大阪病院 樋口武史先生には、結核検査における検体(喀痰)の品質管理の重要性を中心に、先生が病院で行われている採痰指導について具体的にお話しいただいた。
平成15年05月18日報告:山下 知成


02-033
日時:平成14年09月27日(金)(19:00〜21:00;ぱ・る・るプラザ京都)
参加人数:28(28)人 分類:C-2-10点
主題:エビデンスに基づいた細菌検査
講師:小松 方 技師(天理よろづ相談所病院 臨床病理部)
共催:滋賀県臨床衛生検査技師会
共催:デイドベイリング株式会社
Evidence-Based Medicine(EBM)が医療のすべての分野で叫ばれています。我々臨床検査技師においてもエビデンスに基づいた検査を行うことが重要ですが、現在行われているすべての検査がエビデンスに基づいているとはいえません。また、臨床検査医学も日々進歩して来ており、今行われている検査法がどのようなエビデンスでどの程度裏付けされているものかを認識しておくことも重要です。
今回の研修会で小松先生は(1)EBMを実践するためのステップ(2)EBM実践のための情報探索(3)情報の批判的吟味(4)EBM実践のための統計学的手法(5)EBMに基づいた細菌検査ケーススタディーと非常に詳細にエビデンスに基づいた細菌検査の進め方、考え方についてご講演していただきました。
平成15年05月18日報告:山下 知成


02-017
日時:平成14年06月22日(土)(16:00〜18:50;ぱ・る・るプラザ京都)
参加人数:53(21)人 分類:C-10-10点
主題:第二回京滋感染症セミナー
−グラム陰性桿菌の薬剤耐性化とその感染症−
講師:西野 武志 教授(京都薬科大学)
講師:石川 隆之 助手(京都大学)
講師:千田 一嘉 助手(京都大学)
講師:荒川 宜親 部長(国立感染症研究所)
共催:滋賀県臨床衛生検査技師会
共催:萬有製薬株式会社
 
京都薬科大学微生物学教室西野武志教授には「インフルエンザ菌およびリン菌等の薬剤耐性および排出ポンプの役割について」、京都大学の石川隆之先生、千田一嘉先生に「造血器腫瘍患者における薬剤耐性グラム陰性桿菌の分離頻度と治療」について、国立感染症研究所荒川宜親先生に「薬剤耐性菌の現況と検出法」についてご講演していただいた。
 現在問題となっている薬剤耐性菌の中から主にグラム陰性菌によるものについての情報を提供していただいた。
平成15年05月18日報告:山下 知成